アマゾンの人気育毛剤ランキングではいつも上位に位置しているスカルプD薬用育毛トニック・スカルプジェットですが、本当に効果あるのでしょうか?
それとも、インチキ?
100万円以上インチキ育毛剤にだまし取られた豊富な(?)失敗経験と、製薬会社での勤務経験に基づき、純粋に医学的な見地から、本当に効果があるのか見てみました。
育毛剤メーカーの言い分を見てみた
ホームページをみると、「波動ジェット」という育毛剤の噴射で育毛するようですね。成分は関係ない?
と思ったら、そうではなさそう。
波動ジェットはあくまで頭皮を刺激するもので、成分の浸透を促す作用があるみたい。
それなら、どんな成分が入っているのかと思ってみてみると、
まずは3つの有効成分。酢酸-DL-α-トコフェロール、タマサキツヅラフジアルカロイド、グリチルリチン酸2Kの医薬部外品成分です。
この3つは、取り立てて珍しくはありません。まあ、育毛剤によく使われてるヤツです。
次に、出てきた成分が、スカルプD独自成分で、「豆乳発酵液」と「クロレラエキス」、「セイヨウニワトコエキス」の3つ。
クロレラエキスとセイヨウニワトコエキスは「保湿成分」と説明がついてましたが、これらは育毛効果があるのでしょうか?後で調べてみましょう。
最後が、先ほどの「波動ジェット」の話。
何でもノズルに特徴があり、特許まで取っているんだとか。
頭皮にあてたら気持ちいいですが、まあ、育毛効果には直接関係ありませんな。
ということで、肝心の成分の鑑定に移ります。
当サイトの鑑定基準
当サイトでは、使用者による商品レビューや人気ランキングのような「本当か自作自演のウソか分からないもの」は一切無視し、あくまで成分が医学的にどこまで証明されているのか?という一点でのみ育毛剤の効果を鑑定します。
基準は3つ。
1.臨床試験で育毛効果を証明しているか?
育毛効果をうたうからには証明していなければなりませんよね。しかも、試験管やシャーレの中の話ではなく、実際に人で使った試験で効果が証明されていなければなりません。
当たり前です。
2.医療現場で使われているか?(日本)
どれだけ効果を証明したとする臨床試験の文献があっても、実際使ってみたらたいして効果がなかった、なんて成分は山ほどあります。まあ、その試験では、たまたま結果が出ただけ、みたいな成分です。
では、そうした「たまたま」1回だけいい結果が出た成分と、高い確率で効果の出る成分はどうやって見分けたらいいのでしょうか?
最も簡単なのは専門家である医師のお墨付きがあることです。つまり、実際の薄毛治療で使われている成分であること。
いつでも「全然効かない!ヤブ医者だ!」、「副作用が出た!医療過誤で訴えるぞ!」といったリスクを背負って治療をしている医師が治療で使っているという事は、それだけ効果も安全性も間違いない、という事でしょう。
3.海外の医療現場で使われているか?
実は日本で認められている育毛成分のほとんどは海外発。日本で使われていなくても海外では治療に使われているなんて事はよくあります。そうしたケースも基準の一つとします。
それでは鑑定結果です。
鑑定結果
★☆☆ 星1つ
判定基準 | 判定 |
臨床試験で効果を証明している | 〇 |
医療の現場で使われている(日本) | × |
医療の現場で使われている(海外) | × |
臨床試験で効果が証明されているか?
アメリカの国立医学図書館のデータベースであるPubMedやMedicineといった海外の医学文献検索データベースでスカルプD薬用育毛トニックスカルプジェットに含まれる成分を調べた所、ヒットした成分はありませんでした。
ただ、酢酸-DL-α-トコフェロール、タマサキツヅラフジアルカロイド、グリチルリチン酸2Kの3つは「お役所」が認めた医薬部外品の成分という事でエビデンスがあるものとみなします。
なお、スカルプD薬用育毛トニックスカルプジェットの独自成分とアピールされていた、豆乳発酵液とクロレラエキス、セイヨウニワトコエキスに関しては、育毛効果を確認した臨床試験の文献は見つかりませんでした。
医療現場で使われているか?(日本)
Googleで検索しましたが、スカルプD薬用育毛トニックスカルプジェット、またはこれに含まれる成分を薄毛治療に使っている病院は見つかっていません。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、教えていただければ幸いです。contact@antibald.click
医療現場で使われているか?(海外)
Googleで検索しましたが、海外でも当育毛剤、含有成分を使った医療施設は見つけられていません。
ご存知の方がいらっしゃいましたら、情報提供、お待ちしてます!
医薬部外品成分はどれくらい効果があるのか?
医薬部外品成分である、酢酸-DL-α-トコフェロール、グリチルリチン酸2K、タマサキツヅラフジアルカロイドはどれくらい効果が期待できるのでしょうか?
直接、これらの成分の育毛効果を検証した文献はありませんが、その基本作用から効果のほどを類推してみます。
酢酸-DL-α-トコフェロール
ビタミンEの誘導体で、化粧品や食品によく使われています。育毛剤でも使われることの多い成分です。
その効果は、一般的には抗酸化作用や血行改善が言われています。
スカルプD薬用育毛トニック・スカルプジェットのホームページでも血行促進がうたわれていますので、頭皮の血行を良くすることで毛根に十分な栄養分が届くようにしてくれる作用が期待されるという事でしょう。
とはいえ、そこら中で使われている成分ですので、あまり高い効果を期待しすぎても・・・ということでしょう。
グリチルリチン酸2K
炎症を抑える作用を持つことで知られた成分で、育毛剤に限らず歯磨き粉や化粧品など広く使われています。
これも、まあ、どこでも使ってる成分みたいなものなので、酢酸トコフェロール同様、それなりの効果ということでしょう。
タマサキツヅラフジアルカロイド
タマザキ(玉咲)ツヅラフジという植物から抽出した成分で、昔から民間薬として知られていて、育毛効果があると考えられていました。
医薬品の世界では「セファランチン」という名前で知られています。
ただ、2010年に日本皮膚科学会が発表した男性型脱毛症診療ガイドラインでは効果を示すデータがないので治療には推奨できないとされています。
ということで、これもスゴイ高い育毛・発毛効果が期待できるかというと???かも。
結論!
医薬部外品の育毛剤として標準的な効果は期待できるはず。でも劇的に効くかというと???
商品概要
簡単にまとめます。
価格
定価は、3,240円。
公式サイトでもアマゾンでも同価格でした。
容量
1本180ml
指示通り使うと、1か月持たないかもしれません。
使い方
朝晩2回、マッサージするように揉みこみます。
販売メーカー
薄毛対策に力を入れている会社で、薄毛治療の専門病院(ヘアメディカル)も経営しています。