みなさん、どんな育毛剤を探してますか?
ですよね。では、効果があるかどうか、どうやって判断するんですか?
確かに。例えば、アマゾンや楽天で買い物する時は、僕も実際買った人のレビューを必ずチェックします。
でも、それ、育毛剤に関しては・・・・危険です!
口コミ・体験談は一切効果を保証しない!
育毛剤を探そうとグーグルやヤフーで検索すると、ヒットする育毛剤比較サイト、ランキングサイト。そうしたサイトでよくあるのが、もっともらしい口コミです。
この育毛剤を使い始めて、8か月。以前と比べて手ぐしを通した時のボリューム感が違います!
この育毛剤を使ったら半年でこんなにフサフサに!とはいきませんが、抜け毛が減り、あんなに細かった髪にコシが出てきた気がします!
的なレビュー、体験談、よく見かけますよね。
でも、これ、そもそもホンモノなのでしょうか?
(1)口コミレビュー、体験談はホント?
名もない会社の作った、マイナーな育毛剤の体験談が、そこら辺のシロウトの作った比較サイトにいくつも掲載されている事自体、相当ムリがあります。
だって、そんなに簡単に口コミを集められませんから。
簡単な算数をしてみましょう。
例えば、年間売上が数億円規模の中小企業が多い育毛剤業界では、単価1万円の育毛剤が年間10万個売れたら”大ヒット商品”です(それだけで売上10億円!)。
その場合、購入者数は、年間一人平均6個買うとしたら(平均2か月に1回購入*)、10万÷6=約1.7万人となります。*ホントは毎月買う場合が多いですが、途中で脱落する人もいるので、その分減らしました。
1.7万人って、日本の18~69才の男性人口4,182万人からすると、たったの約0.04%です。
さらに、この中で体験談に出てくるような「よく効いた人」=著効例に絞ると、薄毛治療薬のプロペシアの著効率=1.5%。
0.04% x 1.5%=0.0006%。これは、「約17万人に1人」しか見つけられないくらい珍しい。
その中で、さらに!
- 「自分の薄毛の話を、見ず知らずの他人にわざわざペラペラと話してくれる」人で、
- 育毛剤を「ほめる話」をしてくれる(文句を言う人はたくさんいますが)人
となると、1/5?1/10?相当限られてしまいます。
「17万人に1人」の1/5としても、85万人に1人です。
そんな人、どうやって見つけたんでしょう?
楽天のように年間4千万人も訪れ、レビューに報酬も支払うサイトならいざ知らず、素人のサイトで85万人に1人の珍しい人を引き寄せられるほどアクセス数のあるサイトなんて一つもありません。
大体、そうしたサイトには最初から口コミが載ってますから、「書き込まれた」というより、サイト側が「集めた」んでしょう。
唯一、集められる可能性があるとしたら、育毛剤サイトが、多くのモニターを抱えるネット調査会社に依頼して探してもらう方法でしょうが、それでも、僕の数百回の市場調査経験から言って、こんな人を複数人見つけてくるのは非常に難易度が高いです。
例えば、マクロミルを始め大手のネット調査会社は数百万人のモニターを抱えていると公表していますが、実際にアクティブな(答える気がある)モニターとなると100万人程度。
そのうち男性は半分の50万人。
50万人では「85万人に1人」のユーザーを「1人」も見つけられない可能性大です。
それなのに、シロウトが作った何十もの比較サイトに、そうした珍しい人たちが何人も登場している状況って・・・「奇跡」です。
現実的には「ありえません」。
(2)個人的な感想は何の効果も保証しない!
まあ確かに、可能性はゼロではありませんね。使用した本人が書いているという「体裁」の体験談サイトもよく見かけます。
分かりました。では、体験談が本当だとしましょう。
でも、その個人的な体験談に書かれているフサフサ効果・発毛効果が僕らにも当てはまると言えますか?
だって、それぞれのサイトで語られてる話って、たった1人、2人、せいぜい10人に満たない人の話なんですから。
何百、何千という人の意見ならまだ分かりますよ。でも、1人、2人の意見では、統計的には何の意味もありません。
と言われたら終わり。結局、個人的な感想は、何ら効果を保証してないんです。
まさに、育毛剤の宣伝でちーさく書かれているこの文言の通りです。
体験談やレビューは確かに実際に使った人の意見なので説得力があり、それゆえ信じ込みやすいんですが、そうした僕らの弱みをついてくるのがステマサイトの常とう手段。
「結局、お前ひとりの意見だろ、それ?」という批判的な視点を忘れてはいけません。
育毛剤ランキングは根拠が怪しい?
ネットで見つかるランキングサイトのほとんどは順位付けの基準が「あやふや」です。
明らかにサイト管理者の好みでしかない、または広告掲載料の高い商品に偏っているのでは?と疑いたくなるサイトはそこら中にあります*。
*実はネットに限らず、スーパーやドラッグの「当店人気No.1!」のポップも相当アヤしいですけどね。
ありますねえ、こういうサイト。ちゃんとやっていれば非常に信用できますよね。
でも、悪意をもってやれば、アンケート結果は、「やり方」次第、結果の「切り取り方」次第で、いかようにも操作できます。
ですよね。でも、念のため正しくアンケートをしてるか確認しようと、いくつかのランキングサイトに実際問い合わせてみました。
「そちらのアンケート調査の対象者、手法、結果の詳細、委託会社、順位付けの評価基準など教えていただけますか?」
結果は・・どこも開示してくれず、どころか、返信すらありませんでした。
ちゃんとした会社は「できる範囲で」詳細を開示しています(例:JCBクレジットカードに関する総合調査)。
「一切開示しない」時点で、やましいことがあるってこと。そう疑った方が身のためです。
「性悪説」で行かないといくらでもダマされまっせ。
育毛剤業界は怪しげな業者ばかり?
残念ながら、育毛剤業界には、僕たちの弱みに付け込んでアコギな商売をする輩(ヤカラ)がゴロゴロいます。
なぜなら、育毛剤業界は「当たるとデカい」からです。
(1)育毛剤業界はボロ儲け!?
安くても数千円、高いと1本1万円以上の育毛剤なんてザラにありますよね。
さらに、多くの商品で、大幅な値引きをしてくれる定期購入コースが用意されてます。よくある定期コースは、たいてい最低4回は購入することを条件にしていますので、1人のお客さんをつかむと4~5万円の売り上げが得られることになります。
1人つかむと4~5万円の商品って、他で言うと何でしょう?
パソコン?テレビ?
あんなに小さいプラスチックのボトルに入ったアルコール水、数本で、大企業が何十億円もの研究費を投じて開発したテレビやPCと同じ価値を生むことになります。
すごくないですか?
とは言え、どの育毛剤も出せば売れるわけではありません。特に商品力の弱い=効果の低い育毛剤はさすがに苦戦します。
そこで各業者が力を入れるのが宣伝・広告。特に力を入れるのがランキングサイト、比較サイトとの提携です。
(2)ネット情報はステマばかり
A8などアフィリエイトサービス会社に登録すると誰でも知ることのできる情報ですが、育毛剤業者から得られる広告報酬は他の業界よりもかなり高額です。
そのため、育毛剤サイトの中には、高額報酬に釣られ、手練手管を使って特定の育毛剤に誘導しようとするものも出てきます。
その最たる例が、先ほどからお話ししている口コミや体験談、それにアンケートを絡(から)めた巧妙なランキング。
もちろん、すべてのサイトがそうとは言いません。でも、
純粋に善意から、皆さんに有益な育毛剤情報を届けようと、自分の時間を削って(サイトを作るのは大変)、自腹で(タダでアンケートはできない)頑張っている人
そんな奇特な人はめったにいない、という当たり前の現実を受け入れないと、今後もダマされ続けることになります!
なんて言ってる、このサイトだってアヤしいものです(自分で言うのもなんですが)。
今や、口コミレビュー、人気ランキングの真贋を見極める"目利き力"が求められているんです。
よく効く育毛剤の選び方
怪(あや)しい業者がうごめく育毛剤業界。金に目がくらんでウソの情報を垂れ流すステマサイト。
ちょっと脅しすぎたかもしれませんが(笑)、信用しすぎないよう気を付けた方がいいのは事実です。
では、何を信用して育毛剤を選んだらいいのでしょうか?
何を基準に効果ある育毛剤と見極めたらいいのでしょうか?
偉そうに語っている僕ですが、仕事では製薬会社で医薬品の有効性検証に携わってきたくせに、自分の薄毛の事となると「効果があった!」的な非科学的な口コミにコロッとダマされ、いや、ダマされたことさえ気づいていなかった情弱野郎でした。
そんなアホな僕が、10年超で100万円を超えるお金を「ドブ」に捨てて、ようやく当たり前の事に気づきました。
(1)成分で選ぶ
どれだけ口コミで絶賛されていようが、効果のある成分が入っていなければ、ただの水。絶対に!毛は生えません。
当たり前ですよね。
(2)効果が臨床試験で証明されている成分を選ぶ
では何をもってして「効果のある成分」とするか?
まずは、実際に薄毛の人に使った試験(実際の患者に対する使用テストを臨床試験と言います)が行われ、発毛・育毛効果が証明されている事。
当然ですよね。
やります。医薬品に限らず、どんな医薬部外品でも、化粧品分類の育毛剤成分でも、発売前に、その効果を測定するための使用試験を行います。
っていうか、やってなきゃ「オタクの言ってる育毛効果って根拠ないってこと?」、「そもそも安全なの?」って話です。
そして、臨床試験を行った証拠として、その試験の詳細を公表していること(文献がある事)が重要です。
「臨床試験をやった」と言いながら、試験結果を公表していない育毛剤成分、ムチャクチャ多いですが、それは、
- 本当は試験をやってない
- 試験をしたが都合の良い結果が出なかった
- 試験方法がインチキなので専門家から突っ込まれたら困る
など都合の悪い理由があるから、と疑ってかかった方がいいです。
(3)医師が治療で使っているなら信頼できる!
「実際に人での試験が行われ、効果が確認された」だけでは不十分です。
だって、実際使ってみたら全然効かなかった(試験結果は「たまたま」?)なんて成分は五万(ごまん)とありますから。
では、本当に効くか・効かないかの目安となるのは何でしょう?
一番確実なのは、専門家からのお墨付き、つまり医師が治療で使っているかどうかです。
医師にしてみたら、ヘンなものを治療に使って万一、効果がなくて「ヤブ医者」呼ばわりされたり、副作用で医療事故でも起きたりしたら大問題。
ですので、医師が治療で使っている成分は、相当な根拠があって、高い治療効果が期待でき、かつ安全性にも問題ないと言えます。
「病院で治療に使われている」というと「効果が強い分、副作用が怖い・・」と心配する人もいるかもしれませんが、効果のマイルドな市販の育毛剤成分が、医療現場で使われているケースも珍しくありません。
実際、私が回った20か所以上の薄毛治療専門病院(AGAクリニック)の中には、医薬品ではない、市販成分を「効果と安全性のバランスが良い」として、(メインではありませんが)補助的に使っている医師もいました。
(4)当サイトでの評価基準
そこで、当サイトでは次の基準で各育毛剤の成分を判断します。
成分の臨床試験の文献がある
先ほどの「臨床試験で効果が認められているか」見るために、日本皮膚科学会のガイドラインにならって、アメリカの国立医学図書館PubMedや、Medicine、医薬中央雑誌Web、Cochrane Libraryといった医学文献のデータベースや専門誌で含有成分の臨床試験の文献が見つかることを第一条件とします。
医師が診療に使っている(日本、海外)
次の基準「医師が診療で含有成分を使っている」は日本での使用と海外での使用に分けます。
日本でしか使われていない成分もありますし、逆に、日本では医療機関での使用実績はないが、海外では治療に使われている成分もあるからです。
もちろん、日本、海外両方で使われていればそれだけ効果が高いとみなします。
これはGoogleでの検索結果はもちろん、僕が実際にAGAクリニック(薄毛治療専門病院)に行ってヒアリングするなどして確認します。
以上の指標(文献、日本での使用、海外での使用)すべてを満たしていれば最高ですが、多くの育毛剤が一つも満たしていません。
そんなもの、クソです!
さあ、どの育毛剤が「クソ」で、どれが「最高」なのか、見ていきましょう。
おすすめのよく効く育毛剤
最後に、今の所、上の"鑑定"基準で、医学的な裏付けがあると認められた数少ない育毛剤成分を紹介しておきます。
ミノキシジル
★★★ 星3つ
基準 | 判定 |
臨床試験の文献があるか? | ◎ |
病院の治療で使われているか? | ◎ |
海外で治療に使われているか? | ◎ |
皆さんご存知、リアップの主成分ですね。最近はアンファーからスカルプDメディカルミノキ5も発売されました。
まあ、間違いありません。
プロキャピル
★★★ 星3つ
基準 | 判定 |
臨床試験の文献があるか? | ◎ |
病院の治療で使われているか? | ◎ |
海外で治療に使われているか? | ◎ |
2019年頃より出てきた新しい成分。まだ情報が少ないですが、調べてみると、日本はもとより、世界中の病院で使われている"まとも"な成分です。
キャピキシル
★★★ 星3つ
基準 | 判定 |
臨床試験の文献があるか? | ◎ |
病院の治療で使われているか? | ◎ |
海外で治療に使われているか? | ◎ |
そこら辺の怪しげな育毛剤比較サイトでおすすめされているので誤解されがちですが、実は国内外でAGA治療にも使われているちゃんとした成分です。