ミノキシジルと似た化学構造を持つピディオキシジル。
って言うんで、いろんな育毛剤に使われていて、ネットで探すといろんな体験談らしきもの(ねつ造?)も出てきますが、どれもアヤしくて、今一つ信用できません。
そこで、本物かどうか分からない主観的な口コミは一切無視!、効果を示す客観的なデータを求めて医学文献を探してみました。
さらに、文献だけではなく、実際に治療に使っている医師がいないか、国内外の病院を探してみました。
鑑定結果
★☆☆星1つ
ミノキシジルの類似物という事で、複数の臨床試験が行われ効果が確認されていますが、実際に治療で使われるところまでは行っていないようです。
判定基準 | 判定 |
効果を検証した臨床試験の文献があるか? | 〇 |
実際に治療で使われているか?(日本) | × |
実際に治療で使われているか?(海外) | × |
臨床試験の医学文献
ピディオキシジルの効果を調べた臨床試験に関する文献は、日本語、英語の文献は見つかりませんでしたが、イタリア語の試験が4つありました。
臨床試験結果をまとめたサイト:イタリア語のサイト
おそらく元文献があるはずなのですが、イタリア語なので調べきれませんでした(スミマセン)。
ということで、何ら効果検証の試験もしていない、または、していても都合が悪い結果が出たので隠蔽(いんぺい)しているインチキ育毛剤成分ではありませんでした。
日本の病院での使用
20ヵ所以上のAGA病院に訪問し聞き取りを行いましたが、ピディオキシジルを薄毛治療に使っている病院は1件もありませんでした。
また、グーグルでも検索しましたが、見つかっていません。
ご存知の方がいらっしゃいましたらコチラまでご連絡いただければ幸いです。
contact@antibald.click
海外での使用
先ほどの臨床試験がイタリアの大学病院などで行われていまして、ある程度の効果を確認しています。
なので、おそらく使っている病院があるのではと思いましたが、グーグルで検索した限りでは1件も見つかっていません。
ご存知の方がいらっしゃいましたら教えてください。contact@antibald.click
という事で文献はありましたので、ピディオキシジルってどんな作用で、どれくらい効くのか紹介してみます(イタリア語なので誤訳があるかも。ご容赦を)。
ピディオキシジルの効果を検証
ピディオキシジルの正式名
「ピディオキシジル」で検索してもヒットするのはステマサイトばかり。医学的な文献が出てきません。
これは日本の商品名だからかなと思って調べてみると複数の海外名が出てきました。
まず、「Kopyrrol」。Kumar Organic Products Limitedというインドの化粧品の成分などを作っている化学会社が作っているヘアケア成分の名前です。
あと、ヨーロッパ等では、「Triaminodil」という名前で売られています。
また、正式な成分名(化粧品成分の国際的表示名称)は、「pyrrolidinyl diaminopyrimidine oxide」と言います。
これらの名前で検索をかけてみました。
ピディオキシジルの作用は?
先ほどのインドの会社が発表している資料には、ミノキシジルで言われている作用そのままの説明が書かれていました。
4つ書いてますが重要なのは2つ。
1つ目は、表で一番上に書かれている「カリウム・チャネル・オープナー」としての作用。
何だかよく分からないですけど、とにかく髪の毛を休止期から成長期に移行させたり、成長期の期間を延長したりする作用があるとか。結果として髪の毛が抜けない、太く長く育つ、という理屈ですね。
ミノキシジルでも全く同じことが唱えられてます。
2つ目は、上から2番目に記載されている血管拡張作用。
これもミノキシジルが元々高血圧の薬だったことから、お医者さんに行くとよくされる説明です。それをパクったのかな?
頭皮の血管を広げるので血流が増えて、毛根の栄養状態も改善される、みたいな話です。
ピディオキシジルの効果データ紹介
成分製造元の発表したデータ
上の会社のホームページに試験結果のグラフが2つ載ってました。
一つ目は、ピディオキシジル投与前・投与後での「成長期の毛髪」と「休止期の毛髪」の割合を出したもの。
これを見ると、赤棒の投与前の割合に比べ、5か月後(緑棒)のスコアが上がってるので、成長期の髪の毛を増やしたか、休止期の髪の毛を減らしたか、または両方の効果があったことが分かります。
2つ目のグラフがこれ。髪の密度に与える影響を見たものです。
これも5か月後(右側の棒グラフ)には髪の密度のスコアが増えていることが分かります。
これによって「髪を増やした」と言いたいんでしょうが、そもそもどのように密度を計ったのかはよく分かりません。
というか、両方のグラフに言えますが、これは人への投与試験なのかどうかも分かりません。
人での試験の場合、対象者は男性なのか女性なのか(両方なのか)、何人での結果なのか、投与したのはどのくらいの濃度なのか、といった試験のプロトコールについては一切書かれていませんでした。
という事で、これはあまり当てになりませんな。
その他の臨床試験結果
アメリカの国立医学図書館のデータベースを調べましたが、Kopyrrol、 Pyrrolidinyl Diaminopyrimidine Oxideの該当ページはあったものの臨床試験結果に関わる文献は一つも見つかりませんでした。
しかし、イタリア語のサイトで4つの試験の結果を見つけました。
臨床試験1
ジェノバのGaslini研究所(E. Rampini、C. Ocella、D. Bleidl、1989)が行われた試験で、30人のAGA(男性型脱毛症)を発症した男性が対象です。
6か月間にわたって0.8%の濃度のピディオキシジルを塗布した所、21人は変化が見られませんでしたが、9人は薄毛が改善しました。
臨床試験2
1990年にフィレンツェ大学皮膚科学研究所の行った試験で、ビタミンAを添加した0.8%濃度のピディオキシジルを3ヶ月間、男性14名および女性16名に使ってもらいました。
結果は、女性は全員薄毛が改善しました。
男性は、5人は改善が見られませんでしたが、8人は改善、1人は劇的に改善しました。
臨床試験3
ローマ聖母カトリック大学の皮膚病院研究所では、1.5%濃度のピディオキシジルを4か月間、男性28人、女性14人に使った使用試験が行われました。
その結果は、男性では改善が見られませんでしたが、女性は14人全員に改善が見られました。
臨床試験4
2010年にローマの病院で行われた試験では、1.5%濃度のピディオキシジルを6か月間、40人に使わせたところ、23人は変化がなかったが、9人は改善、8人は明らかな改善を示しました。
まとめます。
濃度 | 使用期間 | 改善率 | |
試験1 | 0.8% | 6か月 | 30%(9人/30人) |
試験2 | 0.8% | 3か月 | 83%(25/30) |
試験3 | 1.5% | 4か月 | 33%(14/42) |
試験4 | 1.5% | 6か月 | 43%(17/40) |
まあ、ミノキシジルほどの効果はなさそうですが、効果があることは確かなようです。
鑑定まとめ
医学文献は製造メーカーのものとイタリアの病院での治験結果が複数ヒットしました。
試験結果は30%~83%とバラついているので効果を読み取りづらいですが、少なくとも何の試験結果も発表できないインチキ成分ではないことが判明しました。
ピディオキシジルを含む商品
フィンジアと、ボストンスカルプエッセンスが代表的でしょうか。
簡単な比較表をつけときます。
商品名 | フィンジア | ボストン |
ピディオキシジル濃度 | 2% | 1.5% |
その他成分 | キャピキシル5% | キャピキシル5% |
最低価格(1か月分) | 9,980円 | 9,504円 |
全額返金保証 | 30日 | 45日 |
(濃度不明成分は無視)