最近、チラホラ耳にする「プロキャピル」とかいう成分。
どうせインチキだろうと思いつつ、気になったので調べてみました。
例によって、鑑定基準は、最低限のレベルとして(1)効果を検証し、証明した臨床試験を行い、その文献があるか?、と(2)医師が治療で使っているか?(日本国内&海外)で見てみました。
鑑定結果
★★★星3つ
臨床試験も複数行われており、また、病院での治療に使われた実績も日本だけでなく、海外でも見つかりました。
判定基準 | 判定 |
効果を検証した臨床試験の文献があるか? | 〇 |
実際に治療で使われているか?(日本) | 〇 |
実際に治療で使われているか?(海外) | 〇 |
臨床試験の医学文献
いつもの通り、アメリカの医学図書館のデータベースPubMedを始めとして、医学文献を探したところ、いくつか見つかりました。
Reduction of Hair-loss: Matrikines and plant molecules to the rescue
日本の病院での使用
20ヵ所以上の薄毛専門病院への覆面調査と、Google検索により、数えきれないほどの病院がヒットしました。検索上位に来た病院で言うと、次の通りです。
聖心美容クリニック(プロキャビルと書いていますが、正しくはプロキャ「ピ」ルです)
海外での使用
Googleで検索した所、複数の病院がヒットしました。代表的な所を挙げておきます。
アメリカビバリーヒルズの、Robert James Clinic
シンガポールの、GynaeMD Women’s & Rejuvenation Clinic
ということで、実はちゃんとした薄毛治療の成分であることが分かりました。
プロキャピルって何?
フランスのSedermaという世界的な薬品原料会社が作った育毛成分です。
この成分の元になっているのは、
- ビオチニル-GHK
- 柑橘系フラボノイドのアピゲニン
- 雪胆根由来のオレアノール酸
これら3つの混合物がプロキャピルです。
プロキャピルの効果は?
試験管レベルの試験と、実際に人体での試験と両方で効果を検証しています。
試験管試験
細胞有糸分裂率、遺伝子発現、毛髪の固着、毛髪成長の刺激といった項目で、様々な試験を行っていますが、ハッキリ言って難しすぎてよく分からなかったので(スミマセン)、ここでは「毛髪をどれだけ成長させるか」を試験管(シャーレ)の中で調べた試験結果を紹介します。
この試験では、人の頭皮から採取した毛包(毛髪+毛穴組織)を、先ほど紹介したプロキャピルの成分の一つであるビオチニル-GHKにつけて14日間培養。
その結果がこちらです。
4つの画像の内、左上が培養前、右上がプロキャピル1%に相当する濃度に14日間付けた結果、右下はプロキャピル2.5%に着けた結果です。左下は、ミノキシジル1%に14日間付けた結果です。
真ん中のまっすぐな「黒い棒」が毛髪なんですが、どれも14日間後には横に伸びているんですが、もっとも成長させたのはプロキャピル2.5%のもので、培養前と比べ1.2倍になったたという事でした。
その成長度は、「ミノキシジル1%」を上回りました。
人での試験=臨床試験
試験管の結果がどうであれ、実際に人で使ってみた結果を見ない事には納得できません。
という事で紹介します。
参考にした文献はコチラ。Reduction of Hair-loss: Matrikines and plant molecules to the rescue
試験方法
薄毛症状を呈する30代後半の男性35人を、プロキャピルのローションを塗布するグループ18人と、プラセボ(ただのアルコール水)をそうとは知らずに育毛剤と信じて塗布するグループ17人の2つに分け、4か月後の毛髪の状態を比較しています。
試験結果
この試験では、まず、A/T率というものを尺度に効果を計っています。
これは、頭髪の中で、(A=Anagen=成長期にある髪の数)/(T=Telogen=休止期にある髪の数)で算出される割合で、この割合が使用前・使用後(4か月後)でどれだけ増えるか(成長期の髪が増えるか?)で、効果を計測しています。
*毛髪は「成長する期間」と「抜けて休んでいる期間」を繰り返していて、薄毛の人は成長期の毛髪が少なく、休止期の毛髪が多い。
4か月後、プラセボ(ただのアルコール水)グループの人は割合が減少したのに対し、プロキャピルを使ったグループの人の67%が、最大で46%増えました。
見た目の変化
A/T率とか言われてもよく分からないと思うので、ビフォー・アフターの写真で効果がどれくらいか見てもらいます。
こんな感じです。
よーく見ないと違いが分からないですが(白髪が邪魔!)、分け目の「透け具合」が右側の方が減っている気がしないでもない(ビミョーですが)。
まあ、少なくとも、ビフォー・アフターの写真で髪形を変えたり、写真の光の当て方を変えて、アフター写真の増毛度合いを誇大広告する「インチキ成分」でない事は確かです。
鑑定まとめ
「ボーボーに増える」ほどの効果はないかもしれませんが、一応、医学的に効果を証明した成分であることは間違いありません。
という意味では、そこら辺の臨床試験もしていない成分を配合した育毛剤よりはマトモ。
病院治療にも使われているので、ある程度、信頼性があると考えても良さそうです。
プロキャピル配合の育毛剤
市販の育毛剤としては、アングレとDeeper3Dという育毛剤に配合されています。
アングレ
バイキャピル、アナゲインという日本初成分も配合したアングレにはプロキャピルが「最大推奨濃度で配合」ということですので、3%配合されています。
この育毛剤は発毛促進剤とスカルプエッセンスの2本セットで、スカルプエッセンスの方にプロキャピルが入っているようです。
なお、この育毛剤は、4か月使って効果がなければ、病院治療費を出すという強気な育毛剤ですが、「4ヵ月」はこの臨床試験の結果から採ったのかもしれませんね。
値段は、Amazonでは、5,990円です。
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【インチキ鑑定】アングレは本当に効くのか?
「AGAクリニックの薄毛治療費を出してくれる」というので話題のアングレ ワールドセレクション。 医学的根拠に基づいた成分を高濃度で配合をうたっていますが、本当に根拠なんてあるのでしょうか? って言うか ...
Deeper 3D
リデンシルとキャピキシルを配合しているので有名な育毛剤ですが、2019年のリニューアルでプロキャピルを配合しました。
その配合濃度は記載がありませんが、おそらくチョットだけ入れたのではないかと思います(たくさん入れてたら記載があるはず)。
価格は、15,400円と高めです。
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【インチキ鑑定】Deeper 3Dは本当に効くのか?
ホームページを見てみると、色々書いてますねえ。 「現実を凌駕する最高傑作」、「世界が認めた実力派スカルプケア」・・・。 大丈夫かいな、この育毛剤。「最高傑作」、「世界が認めた」とは風呂敷、広げすぎ!な ...
まとめです。
商品名 | アングレ | Deeper 3D |
プロキャピル濃度 | 3% | 不明 |
その他成分 | バイキャピル4%+医薬部外品成分 | キャピキシル・リデンシル5% |
種別 | 医薬部外品 | 化粧品(養毛剤) |
税込価格(1か月分) | 5,990円 | 15,400円 |
全額返金保証 | 30日間全額返金保証 +病院治療費補償 |
なし |