今回の【インチキ鑑定】のターゲットはフィンジアです。
ちまたの比較サイトでは必ず取り上げられている有名な育毛剤ですね。
格闘家の魔裟斗さんを使った広告で見たことのある人も多いと思います(まあ、魔裟斗さんがフィンジアでフサフサになったとはどこにも書いてませんが)。
色んな雑誌でも取り上げられているみたいですね。まあ、金を払えば雑誌には載せてもらえますけど。それだけ注目を浴びているように見せたいのかな?
そうそう、こんなのもありました。楽天で1位の支持率らしいです、と思ったら違うじゃないですか!
ただ単に、このフィンジアの会社がやったアンケート調査を「楽天リサーチ」という調査会社にお金を払ってお願いし、そのアンケートで1位の項目があった、というだけの話。
これ、まぎらわしいですね。何か「楽天市場」で1番人気があったかのように誤解しますよね?
その原因は、楽天リサーチの文字の大きさ!調査を委託した会社の名前をこんなに大きく書く必要があります?
でも、「1位」はスゴイって?
自社でやるアンケートならどうにでも操作できます。例えば、1年以上継続してフィンジアを購入している人だけにアンケートをとればそりゃあ、1番気に入ってると答えますよね、人に薦めたいって答えますよね?
だから、私は自社のアンケート結果なんて信用しません。
体験談もそうです。育毛剤とか、もっと言うと美容・健康系の商品の広告って必ず体験談がついてますが、これ信用できます?
ウソではないんでしょうが、効いた人の声だけを載せてる時点で「良いトコ取り!」と言われてもしょうがないですよね。
そもそもフィンジアは自分でも書いてますが、
そういうことです。もしかしてこのポジティブな人たちの裏にはたくさんの「こんなのクソだ!」って人がいるかもしれません。
個人的な主観を書いた体験談は、私たちへの効果を何ら保証するものではありません!
ということで、僕は、ネット上の体験談は良いものも悪いものでも、すべて信じません。Amazonやステマサイトの口コミ・レビューは特にウソだと思ってます。
当サイトの鑑定基準
成分です。
良い成分が入っていたら生えます。入っていなければ、どれだけメディアで絶賛されていようが、体験談で激賞されていようが、効果の期待できないインチキ育毛剤です。
では、何をもってして良い成分と判断するのか?
まずは、臨床試験、つまり人を使った実験で医学的に効果を証明している事。
どんな商品でも発売前・後に実際に人で試験をして効果測定をしています。逆にしていなければ、何をもってして効果があると言ってるのか!って話です。
これが最低限の関門です。
次に、ハードルが高いですが、医師が実際に治療で使っているかどうか。
実験結果が非常にポジティブでも、即、医師が使うとは限りません。なぜなら、実験では良くても、実際使ってみたら効かない成分なんて山ほどあるからです。
万一、新しい成分で治療して「効かなかったらヤブ医者扱い、副作用が出たら訴訟沙汰」ですから、医師は新しい成分を使う事には非常に慎重です。
逆に言うと医師が使っているという事はそれだけ効く可能性が高いってことです。
ここは国内と海外を分けて考えます。日本では使っていなくとも海外では使われている未知の成分の可能性もあるからです。
そうとも限りません。医師の中には未認可の化粧品成分を治療に使っている人もいます。実際にAGAクリニック(薄毛治療専門病院)を20か所以上回って、そういう先生にも会ってきました。
ということで、さっそく【インチキ鑑定】してみましょう!
鑑定結果
★★★ 星3つ
判定基準 | 判定 |
効果を検証した臨床試験の文献があるか? | 〇 |
実際に治療で使われているか?(日本) | 〇 |
実際に治療で使われているか?(海外) | 〇 |
臨床試験の医学文献
臨床試験に関する文献をアメリカの国立医学図書館のデータベースPubMed、Medicine、医薬中央雑誌Webを始めとして、色々と検索しました。
その結果、まずキャピキシルに関して製造元のカナダの化粧品会社ルーカスマイヤーが行った試験が見つかりました。
A new strategy to modulate alopecia using a combination of two specific and unique ingredients.
また、フィンジアがもう一つの主要成分としているピディオキシジルに関しても、イタリアの病院での臨床試験結果が公表されています。
治療での使用(日本)
薄毛治療を専門に行うAGA病院を20か所以上訪問して聞き取りをしたところ、キャピキシルを使っている病院が1軒ありました。
表参道スキンクリニックという所です。ここでは、メソセラピーという頭皮に直接注射する施術で注入成分の一つとしてキャピキシルを使っていました。
なお、ピディオキシジルを使っている病院は見つかりませんでした。ご存知の方がいれば教えていただければ幸いです。contact@antibald.click
海外での使用
キャピキシルは、イギリスのThe Brighton Hair Loss Clinicという所で薄毛治療薬の一つとして使われていました。
ピディオキシジルは、またもや見つかりませんでした。情報、求む!
ということで、フィンジアはロクな成分が入ってないインチキ育毛剤ではありませんでした。
それどころか、日本・海外両方で実際に治療に使われている成分(キャピキシル)を含有する、ちゃんとした育毛剤であることが分かりました。
では、どれくらい効くのでしょうか?
上で見つかった利用試験の文献を見てみましょう。
まずはキャピキシルから。
キャピキシルの効果
キャピキシルの作用は?
この成分を開発したカナダの製薬会社ルーカスマイヤーの資料を見てみます。
キャピキシルというのはいくつかの成分が組み合わされた複合成分の名前です。その中で主要なものが2つあります。
ビオカニンAと、アセチル・テトラペプチド3です。
詳しくはこちらの記事 - キャピキシルは効くのか?に譲りますが、
ビオカニンAはAGA治療の特効薬フィナステリドという薬と同じような作用があり、薄毛の根本的な原因物質であるDHTを作らせない働きがあると言われています。
アセチル・テトラペプチド3は、細胞の再生を促す作用があると考えられていて、毛包に直接働きかけて成長を促し、毛髪を元気にすると言われています。
キャピキシルの人での試験結果
15人の平均年齢46歳の男性に5%のキャピキシルを含んだ育毛剤を塗布させた所、4か月目で成長期の髪の毛の数が13%増え、休止期の髪の数が29%減りました。
要は、キャピキシルを塗布すると、髪が抜けずに、太く長く成長する頭皮環境に変わった、という事でした。
次にピディオキシジルの資料です。
ピディオキシジルの効果
ピディオキシジルの作用は?
成分の製造元のインドの会社が発表している資料では、次のように説明されていました。
重要なのは2つですね。
1つ目は「カリウム・チャネル・オープナー」として作用。
何だかよく分からないですけど、とにかく髪の毛を休止期から成長期に移行させたり、成長期の期間を延長したりする作用があるとか。結果として髪の毛が抜けない、太く長く育つ、という理屈ですね。
2つ目は、血管拡張作用。
これは、頭皮の血管を広げるので血流が増えて、毛根の栄養状態も改善される、みたいな理屈です。
ピディオキシジルの効果データ紹介
イタリア語のサイトで4つの試験の結果を見つけました。
臨床試験1
ジェノバのGaslini研究所(E. Rampini、C. Ocella、D. Bleidl、1989)が行割れた試験で、30人のAGA男性が対象です。
6か月間にわたって0.8%の濃度のピディオキシジルを塗布した所、21人は変化が見られませんでしたが、9人は薄毛が改善しました。
臨床試験2
1990年にフィレンツェ大学皮膚科学研究所の行った試験で、ビタミンAを添加した0.8%濃度のピディオキシジルを3ヶ月間、男性14名および女性16名に使ってもらいました。
結果は、女性は全員薄毛が改善しました。
男性は、5人は改善が見られませんでしたが、8人は改善、1人は劇的に改善しました。
臨床試験3
ローマ聖母カトリック大学の皮膚病院研究所では、1.5%濃度のピディオキシジルを4か月間、男性28人、女性14人に使った使用試験が行われました。
その結果は、男性では改善が見られませんでしたが、女性は14人全員に改善が見られました。
臨床試験4
2010年にローマの病院で行われた試験では、1.5%濃度のピディオキシジルを6か月間、40人に使わせたところ、23人は変化がなかったが、9人は改善、8人は明らかな改善を示しました。
まとめますと、
いろいろな条件を変えて試験をしているので一概に効果の割合を言えませんが、平均して5割くらいの人(46%)には効果がありました。
濃度 | 使用期間 | 改善率 | |
試験1 | 0.8% | 6か月 | 30%(9人/30人) |
試験2 | 0.8% | 3か月 | 83%(25/30) |
試験3 | 1.5% | 4か月 | 33%(14/42) |
試験4 | 1.5% | 6か月 | 43%(17/40) |
まとめ | 46%(65/142) |
と長々と書いてきましたが、結論。
売り方が「うさんくさい」ので誤解されがちですが(インチキ扱いしたのは俺か・・)、医学的に効果を確認した成分を2つ使ってるので、そこら辺の育毛剤なんかよりは、ぜんぜん高い効果が期待できるはずです。
ということで(名誉棄損で訴えられないよう言っておきます)、
最初に散々インチキ育毛剤扱いしてしまい申し訳ありませんでした!
フィンジアの商品概要
成分
キャピキシルを上の臨床試験と同じ5%配合しています。
ピディオキシジルは上の臨床試験での最高濃度1.5%よりも高濃度の2%を配合しています。
その他、「カプサイシン」というトウガラシの成分も入ってます。
これ自体は育毛効果を狙ってというよりも、育毛剤が毛根まで届くように毛穴を開かせる目的で入れられています。
また、育毛剤のご多分に漏れず、天然成分も入ってます。
センブリとか日本古来の育毛成分も入ってるみたいですけど、基本的には育毛効果をもたらしてくれるのはキャピキシルとピディオキシジルでしょう。
フィンジアの使い方
一般的な育毛剤と使い方は同じです。
- 朝、晩の1日2回の塗布
- 洗髪して頭皮の皮脂や汚れを取ってから使う
- 塗布する時は頭皮に直接つける(髪についても効かない)
- 1分ほど頭皮全体を、もみ込むようにマッサージしながら塗り込む
価格
1か月使える50mlボトル1本で、定価は12,800円です。
これが定期的コースになると割引されて2割引きくらいになります。
いや、そうでもないんですね。1回でも中止・休止OKとしていますので、定期コースに申し込んで、例えば頭がかゆくてしょうがないからやめたいとなったら1回でも止められます。
ってことは、定価で買う人、いるんでしょうか?よく分かりません・・・。
さらにお安く買うには、3本まとめ買いがお徳。
これだと、1本あたり8,967円で買えます。
フィンジアとよく比較される育毛剤
ボストンスカルプエッセンスもキャピキシルを5%含み、さらにピディオキシジルも配合している点で非常に似ています。
違いは、価格とピディオキシジルの濃度。
商品名 | フィンジア | ボストン |
キャピキシル濃度 | 5% | 5% |
ピディオキシジル濃度 | 2% | 1.5% |
最低価格(1か月分) | 8,967円 | 9,504円 |
フィンジアの方が勝ってますね。
(参考資料)
- 日本皮膚科学会のガイドライン
- アメリカの国立医学図書館PubMed
- Medicine
- 医薬中央雑誌Web
- Cochrane Library